「マティス展」国立近代美術館

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 展示室に入った途端、枠からはみだしてくるほどの存在感とパワーを感じました。油絵だけではなく、彫刻、スケッチなど様々な作品を観ることができます。
 もちろん、鮮やかな色で描かれた作品に目を奪われますが、画面をよく観てみると、何度も書き直した後がある作品も数多くありました。完成作品というとミスのないようにと気をつかいながら描いてしまいそうですが、ミス(というかイメージと違って描かれたもの)を恐れないその勢い、イメージを具現化することへの情熱をすごく感じました。平面的にとらえている作品もあれば、平面と立体がひとつのキャンバスに描かれていたり。鮮やかな色が画面上で溢れている作品もあれば、「金魚ばちのある室内」のように深く、重いブルーを基調に描かれていたり。その多様性には本当に目を見張りました。同じテーマのスケッチをとても多角的に何度も描かれていいる作品もかなり興味深かったです。個人的には流れるような柔らかい曲線がとても好きです。
 最後の展示室には切り絵の作品が飾られていました。はさみの直線、曲線の単純な線でできているのですが、どれも動きがあり、特に「ブルーヌード」はブルーと紙の白のコントラストがとても美しく、そして、足のあたりにブルーの紙が付け足してあるのが特に気に入りました。