「佐伯祐三展」練馬区立美術館

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佐伯祐三〜芸術家への道〜展』
練馬区立美術館
2005年9月17日〜10月23日
http://www.city.nerima.tokyo.jp/museum/tenji/saekiyuzou.html

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 『郵便配達夫』は美術の教科書に載っていたような気がする。とはいえ、作家の名前は当然覚えておらず、なんとなく印象の強いその絵の雰囲気だけ覚えていたようだ。今回の展示会のポスターをみて、「あ!」と思った。
 30年という短い人生とは思えない作品量がとても丁寧に展示してある。自画像がとても多いのだが、同じ作者の作品とは思えないほど筆遣いが異なっている。いろいろな方法を試している様子が伺える。そして、同じモチーフを何度も何度も描いている。その作品が並べて展示してあり、その雰囲気のあまりの違いに絵を描くことへの深さを感じる。
 みたものをそのまま描くのではなく、雰囲気、というか印象を描いている。佐伯祐三という人の目を通して風景をみると、実物の風景よりとても魅力的に思える。フランス、日本と、土地には土地にあった色があるのであろうか?全く異なった印象に感じる。
 作品のなかには、なんと石膏デッサンもあった。思わず「ひっ」と叫び声をあげてしまった…。セツの石膏デッサンで「Aなんて楽勝ー」なんて軽くゆっていたが、とてもとても同じ石膏デッサンとは思えない(当たり前だけど)。B-(ビーマイナス)も大おまけだな、こりは。佐伯祐三の石膏デッサンには「線」はない。そして何よりも白から黒への色の流れがとてもとても自然なのである…。むむむ。何度も何度もその作品を眺めていた。おもしろかった。