夏休みその1

箱根の裏道

 ようやく夏休み。
 直島に行こうか、神津島八丈島に行こうか、山陰、山陽に行こうか、なんて迷っていたら、いつのまには夏休みになってしまった。
 で、今回は近場でゆっくり休むことにした。ちょっと奮発して、箱根にある老舗のホテルに。早めにホテルに入って、コーヒーを飲みながら読書。村上春樹の新刊と、会社の友だちに借りた本を読む。窓の外からきこえてくる水の音が心地よくて、静かな気分で過ごす。部屋でも読書。ゆっくりと本を読むのは久しぶりでとても落ち着く。
 ホテルのなかを散歩していたら、いつの間にかホテルの裏側の細道へ。電線や配線がところ狭しと張り巡らされていて、華やかなホテルの裏側をちょっと垣間見た気がする。立派できれいなところだけよりもずっと魅力的に思える。
 大学の先輩が大学のあるこぎれいな街には住まず、隣の雑多な街に住んでいたのを思い出した。「汚いものを排除してきれいなものだけを集めた街より、それを含めた街のほうがよい」といっていたなあ。屁理屈といえばそれまでだけど、うん、確かにそうだよな、とも思う。